平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
75/350

3.3. PPy/CNTコンポジット電極 PPy/CNTコンポジットのダイナミック−TGの結果は、CNTのみあるいはPPyのみの結果とは異なるもので、CNTとPPyがコンポジット化していることを示唆するものであった(図5)。PPy/CNTコンポジット電極は、PPyの重合方法に依存した酸素還元特性を示すことが明らかになった。in-situ電解酸化重合および化学酸化重合法によるどちらの電極系も、酸素カソード特性は、過酸化水素生成過程を経る二段階の反応過程で進行する。各反応過程は、CNT量、PPy/CNT比の影響を大きく受けるため、コンポジット電極における最適CNT量を決定し、次にコンポジット化させるPPy量の最適化を両重合法について実施し、その値を決定した。電解酸化重合電極系が、還元電流値、onset potential、界面微分容量など総合的に優れた特性を示すことがわかった(図6)。また、単層CNT系においては、硝酸+硫酸、フッ酸処理により物理的および化学的構造に顕著な変化がもたらされることがわかった。CNTの高純度化・分散のため行うフッ酸処理は、ラマンスペクトルにおけるDライン(ID)に対するGライン(IG)の比値(IG/ID)は、硝酸+硫酸処理を施したCNTのそれに比べて減少し、CNT上の欠陥領域が増加していることを示唆した。さらに、試験CNT中に存在する半導体CNTと金属性CNTのうち波数1,535cm−1領域における金属性CNTに対応するスペクトルは、酸処理前に比べてその形状(強度比、半値幅)、ピーク位置が変化した(図7)。これらの結果は、金属性CNTの存在状態が酸素カソード極特性に影響を与えるPPy/CNTコンポジット電極のsynergy effect発現に重大な役割を果すことを意味し、PPyの酸化重合方法がPPy/CNTコンポジットの金属性CNTに対応するスペクトルに影響を与えていることが見出された。3.4. Me-PPy/CNTコンポジット電極 昨年度のCNTとPPyのsynergy effectの酸素還元特性に対する効果の検討結果に基づき、より高いパフォーマンスで動作するように最適化されたPPy/CNTを用い、金属(Co, Ni, Fe, Mn, Pt, Pd, Ag ,Cu等)をloadingしたMe-PPy/CNTコンポジットおよびこれを焼成したコンポジット電極を試験した。図8に示すように試験したどのMe-PPy/CNT電極も酸素還元触媒能を有し、PPy/CNT図4(a)図4(b)図6図7 図8 図5連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会73

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です