平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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とが分った。TiO2/CNT比、コンポジット作製時の焼成温度を検討し最適条件を決定した(図12)。アモルファス型TiO2/CNTコンポジットに回転電極法(RDE)を適用し、そこから得られるLevich-Kouteckyプロット解析を行った。反応関与電子数nは分極電位増加につれn=2から3へと推移し、単なる2電子還元反応ではなく4電子還元反応も寄与していることを見出した(図13)。3.6.2:ペロブスカイト型複合酸化物LnXSr1-XCoO3 (Ln =La,Nd,Sm,Dy)/CNT系試験したどの電極系も、明瞭な2つの還元ピーク(酸素還元:-0.2V、過酸化水素の還元:-0.6V領域)を示すが、これらのピーク挙動は、複合酸化物の構成元素ランタノイド系元素Lnの種類、量およびコンポジットの焼成温度に依存することが見出され、Nd系で最も高いパフォーマンス得た。特に、電極触媒劣化に大きく関与する過酸化水素種の反応過電圧の低下に与える影響は大きく、本電極の触媒発現・劣化機構の解明に重要な示唆を与える(図14)。CNTとMe/PPy、Co-Phcあるいは遷移金属酸化物とのコンポジット化は、各電極系に特徴ある性能をもたらし、電極の高性能化と高電流密度化に有効で4電子還元反応の可能性を示唆するものであることが明らかにされた。また、各電極系の複素インピーダンス挙動から解析された反応動特性は、ほぼどの電極系においても、電荷移動抵抗、コンポジット/電解質界面の不均質性、有限長の拡散過程を考慮した速度論的パラメーターの決定が重要であることを示唆され、酸素還元活性と矛盾せず、電極系を特徴付けることができた。3.7. PBI固体高分子形電解質膜の電気化学特性 調製した所定濃度のPBIイオノマー溶液を用い、所望の大きさ電解質膜を自動塗工装置にて作製することができた。表面は滑らかであり、貫通した穴や析出不純物は見られない。図15に典型的なPBI膜のSEM像を示した。リン酸ドープ無しのPBI膜の無加湿窒素雰囲気下での界面特性は、完全な理想分極性の界面挙動で、イオン移動に関する情報は得られない。加湿窒素雰囲気下では理想分極性界面状態からずれ、プロトン導電性を獲得したことを示唆する容量性の円弧を示した。所定量のリン酸をドープしたPBI膜の界面複素インピーダンスは、70℃以上の無加湿条件下においてきれいな半円弧挙動を示し、低周波数領域での拡散挙動は見られない(図16(a))。リン酸のドープによりプロトン導電性を飛躍的に高めたプロトンの拡散の影響を受けない膜を作製できた。導電特図15 図14連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会75

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