平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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次世代のクリーンエネルギーとして水素(H2)が注目されている。しかし、主にH2は二酸化炭素(CO2)を副生する化石燃料の水蒸気改質反応により工業的に製造されている。そのため、CO2を排出しない新しいH2製造法の開発が望まれている。CO2を排出しないH2の製造法として、光触媒による水の完全分解反応、メタンおよび硫化水素の分解反応などが検討されているが、効率が悪いまたは高い反応温度が必要などのデメリットがある。Alの総需要の70%ほどが新規投入原料であるといわれており、廃Alのリサイクル率は高いとはいえない。この廃Alを水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液と反応させH2を得る研究が行われている。しかしながら、この方法ではNaOHを含む排水を処理する際に環境負荷が生じてしまう。一方、我々は新しいH2の製造方法として環境負荷の小さいAlと水(H2O)との反応に注目をしている。本研究では、簡易的なガラス製反応器を用いたAlとH2OからのH2生成反応についての基礎的な知見を得ることを目的とした。さらに、ステンレス製反応器を用いたAlとH2OとのH2製造反応に与える種々の反応条件の影響と、実用化を視野に入れたスケールアップについて検討した。AlとH2OとのH2生成反応にはガラス製およびステンレス製反応装置を使用した。ガラス製反応装置(反応容器体積:100ml)を用いた反応は、Al(1.0または2.0g)および蒸留水30mlを平底フラスコに入れ、マグネチックスターラーで攪拌することによって行った。Alは市販の粉末状試薬を使用し、添加物として高硬度物質および水酸化アルミニウム(Al(OH)3)を用いた。ステンレス製反応器には小型(100ml、図2(上))および試作した大型反応器(2,000ml、図2(下))を用いた。なお、小型反応器での反応には、5~30gの粉末状Alと80mlのH2Oを用いた。また、大型反応器での反応条件は、100gのAl粉末と300mlのH2Oを使用し、廃Alを使用する場合は40g、H2O1400mlを用いた。また、発生したガスはアクリル製チューブに水上置換方で捕集して体積を測定し、ガスクロマトグラフにより純水素であることを確認した。3.1. 平成20年度の研究成果3.1.1 ガラス製反応器を用いたAlとH2OからのH2生成反応研究の目的1研究実施方法2研究成果3廃アルミニウムと水からの新規水素製造法の開発室蘭工業大学 大学院 助教 神田 康晴/特任教授 杉岡 正敏■ 教育研究部会 活動報告 研究小委員会図1 アルミニウム(2.0g)と水との水素生成反応における誘導図2ステンレス製小型反応装置(上)および大型反応装置(下)図3 小型ステンレス製反応器を用いた水素製造反応 Al:10g,H2O:80ml, 反応温度:40℃,攪拌速度:1,350 rpm連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会80

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