平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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1)連携講義の実施 まず、大学連携の基本形として、講義を交換することを実施することを計画した。しかしながら、新たな講義科目を起すことはシラバス変更を伴うために短期に実施することが難しく、スポット的な特別講義も事業としては物足りなく思われた。そこで、既存の講義科目の一部を、他方の大学の教員が出張して講義を行う連携講義を検討し、これを実施することとした。これであるならば、シラバス変更を伴うことなく、スポット的な講義とも異なるために効果的と判断された。結果として、平成21年度には合計22コマ(担当教員数16名)の連携講義を実施した。講義内容は建築デザイン系から電気・原子力関係まで広範囲に及び、参加した学生数は延べ760名(東京都市大学415名、室蘭工業大学345名)に上った。このような連携講義を実施することによって、延べ760名を数える両校の学生が、他大学の教員から直接講義を受ける機会を得て、異なる専門の知識を得たり、他大学の研究・教育の動向を知ったりするなど、新たな刺激を受けることが可能となった。平成22年度には、この成果を受けて、連携講義を合計18コマ(担当教員数18名)で実施した。21年度は後期科目の割り当てが多く、望まれてはいても実施できなかった講義科目も多かったため、平成22年度は前期・後期のバランスも考えて実施した。講義内容は建築デザイン系から宇宙・エネルギー原子力関係までの専門講義に加えて、生物化学や技術者倫理の教養教育までの広範囲に及び、参加した学生数は延べ840名(東京都市大学360名、室蘭工業大学480名)に上った。これらを通して、学生が自らの専門領域の奥行きの深さを知ることとなり、学生の学習意欲が増進するとともに、複眼的な物の見方が醸成された。また、専門が近い両校の教員が本連携講義を通して、一層交流を深めることができたことも成果といえる。2)連携事業特別講演会の実施連携講義の他に、いくつかの講演会も実施した。これは地域連携や教育研究の事業と関連させて実施したものである。まず平成21年3月には水素エネルギーやエンジンに関する連続講義を実施した。これは、都市大教員4名が室蘭工大を訪問して、主に水素エネルギーおよび水素エンジン関連の講義を行い、それらの基礎となる知識・技術を教授することが目的であった。また、21年度に実施予定であった水素エンジン搭載バスの室蘭実走行を通して、両大学の学生にOJT教育を行うための前段として位置づけられたものであった。平成21年2月25日には、本連携事業のキックオフプログラムの一部として、ウィンターセミナーat武蔵工業大学として、航空宇宙工学分野の2名の講師を招聘して、講演会を実施した。また、ウィンターセミナーat室蘭工業大学では、21年3月4日から6日までの3日間に渡って燃料電池等に関する講演会を実施した。また、平成22年6月30日に、中村英夫東京都市大学学長が、室蘭工業大学にて「日本のインフラ-現在・過去・未来-」と題して、特別講演会を実施した。室蘭工大学生ばかりでなく、苫小牧高専生徒や一般市民らを含め230名が集まった。次いで、平成23年1月12日には、佐藤一彦室蘭工大学長による特別講演会「レアアース-ハイテク産業を支える希少な資源と稀有な性質-」が東京都市大学で開催され、180名の参加者を得た。3)教育教材共同開発平成20年度に、工学基礎教育を充実させることを目的として、ステーショナリー兼用の簡易教育教材を作成することを種々の検討の結果として決定した。そして、平成21年度にはフーリエ級数や全微分説明用の教材、頻出する微分方程式や数学記号に関する説明用クリアケースを試作した。工学基礎教育のための簡易教育教材の作製を通して、担当者間で工学基礎に関する教学上の問題点や導入教育の方法論について議論することができた。また、導入教育の一方法として、ステーショナリーという学生にとって身近な道具を利用することを提案することができ、いくつかの試作品を作成してその効果について検討した。平成22年度には、21年度に実施した教育教材の作製連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会7

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