平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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に比べ倍以上大きい。従って、特に高回転数にした場合に出力の増加よりも抗力の増加の方が上回り、効率の低下につながっているものと考えられる。なお、水素についてはまだデータが少ないため、今後数多くの実験を行い特性を把握する必要がある。2.2.5 負荷抵抗の変化によるエンジン性能の変化図7に、負荷抵抗を変化させたときの発電機出力の変化を示す。グラフより、負荷抵抗の変化により発電機の出力が増減し、またある抵抗値で極大点をもつことが分かる。例として、図7a)の入力電力が380Wの場合、発電機の駆動周波数が20Hzの場合では負荷抵抗が600Ωの時に最大の出力である25Wを発生する。また入力電力を568Wに増加させた場合、極大値は低抵抗側にシフトする傾向が見て取れる。例として、図7b)の入力電力が568Wの場合、発電機の駆動周波数が20Hzの場合では極大値が500Ωの位置となっており先ほどの入力電圧が380Ωの場合と比べ減少していることが分かる。これは系の特性によるものと考えられ、本研究では発電機のモデル化を行い解析することで上記のような負荷抵抗の影響を定性的に再現できることを示した。2.3 軌道運用のための蓄熱装置の研究2.3.1 概要発電装置としてスターリングサイクル発電機を用いる長所の一つに、蓄熱材によるエネルギーの貯蔵が可能であることがあげられる。地球を周回する衛星などでは、日陰時における電力を確保するため何らかの方法でエネルギーを貯蔵する必要がある。一般的には太陽電池との組み合わせでバッテリが用いられるが、スターリングサイクル発電機を用いた場合蓄熱材を利用してエネルギーを熱の形で貯蔵することが可能である。バッテリを用いた場合、単位質量当たりのエネルギー貯蔵量はリチウムイオン電池の場合でも120Wh/kg=432kJ/kg程度である(3)。一方で蓄熱材を用いた場合、蓄熱材が相変化する際の潜熱を使ってエネルギーを蓄えることができ、この融解潜熱はLiF(フッ化リチウム)の場合1,037kJ/kgにも達する。このように、蓄熱材を用いて日陰時のエネルギー貯蔵を行うことで、より軽量なシステムを作り出すことが可能となる。このような背景を踏まえ、本研究では蓄熱材の伝熱特性に関する実験的研究を行う。前述のように蓄熱材としてはフッ化リチウムのような融解潜熱の大きな溶融塩がよく用いられるが、溶融塩は一般的に熱伝導率が低く、使用方法によっては大きな潜熱を十分に活用できない可能性が図6:作動流体の違いによるディスプレーサ駆動電力の変化b) 入力電力568 Wa) 入力電力380 W図7:負荷抵抗の違いによる発電電力の変化連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会88

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