平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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ある。本研究ではこの点に注目し、溶融塩の一種である塩化リチウム(LiCl)と、熱伝導率が高いアルミニウム(Al)を蓄熱材としてその伝熱特性を比較する実験を行った。2.3.2 実験装置実験装置の外観および概略図を図8に示す。実験装置は円筒形の容器の中央に作動流体を流す配管を配置したものである。円筒容器の底部には熱伝導による放熱を低減するため、熱伝導率の低い(1J/m/K程度)耐火コンクリートが10mm充填されている。この耐火コンクリートの上に蓄熱材を高さ60mm分充填する。蓄熱材としては上述の通り熱伝導率の違いによる伝熱特性を比較するため、アルミニウムと塩化リチウムの二種類を用意した。容器外部に電気加熱式のシースヒータを巻きつけ外部から加熱して蓄熱材を融解させる。ヒータの外側には断熱材としてグラスウールを厚さ約10mm分巻いた。蓄熱材の温度を周方向に5点計測し、時間による周方向に対する温度分布を取得する。この5点の位置は円筒容器の中心軸からそれぞれ5,11,17,23,29mm離れた位置に配置されている。高さ方向位置は蓄熱材上面から30mmである。また作動流体が流れる配管の外径は6.35mm、内径は4.57mmで、入口・出口温度と流量を計測することで蓄熱材から作動流体への熱供給量を取得する。本実験では管内を流れる作動流体として窒素を用いた。2.3.3 実験結果 図9は容器に同じ450gのアルミニウムと塩化リチウムを充填し蓄熱材とした場合の、35分間の放熱時間における半径方向の温度分布を示す。配管内を流れる窒素の質量流量は0.5kg/sである。双方とも融点(アルミニウム約930K、塩化リチウム約880K)より20K高い温度から実験を開始している。アルミニウムの場合、熱伝導率が高いため35分の放熱時間の全領域で蓄熱材内部の温度は一様である。一方、塩化リチウムの場合は管付近から温度降下が始まり、温度の一様性が崩れていることが分かる。これは塩化リチウムの熱伝導率が低いことが原因である。このような温度勾配の発生は特に配管への熱供給量が大きい時に顕著となる傾向がある。図8:実験装置図9:蓄熱材温度分布(Al,窒素の質量流量0.5g/s)a) アルミニウムb) 塩化リチウム連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会89

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